【レポート】 事業速度UP! コスト半減! リモート可能に! 1年間インサイドセールスで Amazon Connect を使ってわかったこと #AWSSummit
2020年9月8日から30日まで開催されるAWS Summit Onlineのレポートです。
本記事で取り上げるセッションは下記となります。
セッション情報
スピーカー
ナイル株式会社 執行役員 梅本 雄二 氏
概要
クラウド型コールセンターの仕組みであるAmazon Connectをインサイドセールスチームに導入するまでの経緯と活用例をお伝えします。また1年間実際に利用してわかったAmazon Connectのメリット・デメリットをご紹介します。
動画はこちら
セッションレポート
Amazon Connectを利用して得られたもの
- セルフサービスによる事業速度の向上
- 従来のやり方では、電話の構成変更時、毎回見積りや工事日程の調整などで2週間〜1ヶ月ほどかかっていた
- 自分たちですぐできるようになった
- コストが大幅ダウン
- 30万円前後が13万円前後になった
- セールス職のフルリモートを実現
- 固定電話に縛られなくなったため
- 全社で出社率が10%台の低い水準を保っている
おトクにマイカー 定額カルモくん
- カーリースを主としたサービス
- 11年リース
- 税金や車検を含めて、毎月の支払いが定額になることが特徴
業務と顧客接点
- 集客、育成、商談、支援の4段階
- 集客と育成はオンラインで完結する
- 商談や支援は電話対応が発生する
- セールス規模は急拡大しており、さらなる増員が予定されている
- Amazon Connectは、これを支えた
Amazon Connect導入まで
導入のきっかけ
- もともと新規事業のPoC段階のため、一般的なPBX(Private Branch eXchange:構内交換機)で、オフィス設備にフリーダイヤルを追加したような形だった
- 急激な増員・増床が必要になった
- 移転費用が高額
- かなり期間が掛かる
- 他の選択肢を考え始めた
- 将来的には、セールス部門とカスタマー部門のシームレスな連携を目指すことなどを意識していた
- 当時、いろいろなサービスを調べた
- Amazon Connectが基本的に優位だが、電話関連機能の一部不足や専用に作られたクラウド側コールセンターには一部見劣りする部分があった
Amazon Connectを選定した理由
- 導入も運用も、コストが圧倒的に安い
- 柔軟性に優れているので、変化が激しい新規事業にとても向いている
- 見劣りする部分もあるが、自分たちで開発すれば機能面はフォローできる
- 開発できるならば拡張性が高く、業務改善が行いやすい
Amazon Connectの導入
- 約1ヶ月で導入完了した
- 初期トラブルもなく、スムーズに切替できた
- トラブルに備えて、ポケットWi-Fi準備や待機していた
- 初期トラブルもなく、スムーズに切替できた
セールス業務の利用方法
- Slackが起点となっている
- Slackに電話番号、氏名、ステータスなどのリンクが通知される
- Amazon Connectで受電しつつ、リンクから顧客情報(Kintone)を確認する
Amazon Connect周りのシステム構成
- 新規事業のため、半年単位で大きな商材追加がある
- 組織も1ヶ月単位でコロコロ変わる
- キューの構成見直しを頻繁に行っていた
- これらを柔軟にセルフで変更できることが、事業のスピード向上にとても役に立った
- キューの構成見直しを頻繁に行っていた
工夫している点
- お客様のステータスに応じてキューを振り分け、その先の組織も柔軟に対応している
サービス全体のシステム構成
- マイクロサービス、サーバーレスに特徴がある
- 参考(以前の発表資料): AWSサーバーレス活用による事業の高速化
従来のPBXから変わったこと
- 大きな違い
- 鳴動が1人に限定されること
- 入電時の情報が増えたこと
- 人為的ミスがトータルで大幅に減ったこと
- 営業時間外関連は、大幅に良くなった
- ただし、祝日対応が十分でない(従来のPBXもだが)
- 都度設定するか、カレンダーを自前実装する対応が必要になる
- 品質については、納得がいくヘッドセットを見つけるまで苦労した
1年間利用して分かったメリット・デメリット・現場の声
メリット
- 大幅なコスト削減
- 導入コスト
- 通常時の運用コスト
- 構成変更のコスト
- セルフサービスで機動的な運用が可能
- 電話番号の追加
- アカウントの追加
- フローの変化
- 運用が簡単
- Web画面上の分かりやすい操作性
- すべてクラウド上で在宅勤務もできる
- セールス職のリモートワークが可能になった
- 自分たちの業務に特化したコンタクトフローが実現可能
- 専用番号の割当
- ロールプレイング用の複数番号を運用
デメリット
- ネットワークに依存
- 全部署が共通ネットワークである都合上、帯域不足時に会話が聞こえなくなったり切断が発生してしまう
- 既存の電話番号は利用できない
- 旧番号側で転送設定が必要になる
- 電話番号選択の自由度が少ない
- 1年前だと、0120の候補が0件という時期もあった
- 最近だと、0120で100件程度の候補がある
- 基本はコールセンター用で、電話主体では機能不足がある
- コールセンター全体としての着信履歴などはある
- 個人単位の発信履歴・着信履歴などは、Amazon Connect標準で無い
- 自前実装が必要
- 技術として枯れていない、小さい障害発生時などは日本語情報が不足
- 1年前はそれなりに情報がなかった
セールス現場の声
- 担当するお客様の数が多いので、着信時に名前とステータスが分かり、本人確認が不要というのが大きい
- 録音からトップセールスの通話内容が聞けて勉強になる
- 聴電(モニタリング)が簡単になった
- オフライン、アフターコールワークが便利
- 導入時には想定していなかった
- セールスという職種は、電話以外の業務もあるため、その最中に電話がならないことがメリット
※アフターコールワーク:受電できないが転送は受けれる状態のこと
システム運営者の声
- イニシャルコストがとにかく低い
- 金額的にも
- 人的にも
- 小さく始めて大きくできる柔軟性が良い
- 設定デプロイにシステム的な支援がない点はテストがしにくい
- Amazon Connectは、CloudFormationで構築できないため、Web画面から手作業になってしまう
- 大きな変更時の緊急切り戻しなどが課題
- Amazon Connectは、CloudFormationで構築できないため、Web画面から手作業になってしまう
1年間のコスト変化
- ピンク色:Amazon Connectの利用料
- 紫色:フリーダイヤル受電の通話料
- 青緑色:架電の通話料
- 1年間でコストが1000ドルから4000ドルになっている(4倍)
- 通話時間も6400分から31000分になっている(4.8倍)
- 架電による通話料金:17000分で1分あたり9円
- フリーダイヤルの通話料金:13000分で1分あたり17円
- ほとんどのお客様が携帯電話のため、この金額は相当安いと考えられる
- 通話時間も6400分から31000分になっている(4.8倍)
まとめ
コールセンターとして利用する場合
- 一般的なコールセンター業務において、電話関連の機能面や性能面で問題になることはまず無い
- CRMはSalesforceかZendeskなら統合可能
- それ以外の場合は、開発・移管・教育コストがペイするかを考える
- ゴリゴリAWS連携などを考えるなら、他の選択肢は無い
- 文字起こしのAmazon Transcribe
- 感情検知のAmazon Comprehend
- 半年前から日本語対応している
コールセンター以外で利用する場合
- 小規模組織・新規事業にはオススメ
- 完全属人のインサイドセールスもオススメ
- 一人ひとりに専用の電話番号を発番する形など
- 大規模組織でも、開発・移管・教育コストがペイするはず
今後やろうとしていること
コールセンター機能の拡充
- チャット追加
- Web用ならJavaScriptのライブラリがあるので、導入ハードルは低い
- Amazon Transcribeを使った文字起こし
- リアルタイムで文字起こしができるようになれば、業務中のメリットは大きい
- ただし、方言などでどの程度の精度がでるかは不明・不安
- リアルタイムで文字起こしができるようになれば、業務中のメリットは大きい
- Amazon Comprehendの感情検知
- お客様の満足度向上に力を入れる必要があるため、導入を考えている
セールス用電話機能の拡充
- Kintoneとの連携強化
- CRMの充実化
- 担当者確定時の初期呼び出し変更
- 呼び出し周り
- タスク管理との連携
感想
実際にAmazon Connectを導入した知見が仮定も含めてコレでもかと詰まっているセッションで、とても勉強になりました。